日経記事に学ぶビジネスモデル   2001/04/25 NO.18
日本の特許収支初の黒字
使用料収入、ITなど急増 今年見通し

日本経済新聞 2001年4月22日
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記事の内容(一部)

・日本の特許収支が2001年にはじめて黒字転換する見通しになった。
・海外から受け取る特許使用料と海外に支払う使用料の差額である特許収支 は赤字が続いてきたが、昨年の赤字幅は前年の半分の838億円に急減。
・今年も情報技術(IT)や自動車分野を中心に受取額が急増、2月単月の収 支は黒字になった。
・特許収支の黒字化は日本企業が1990年代に特許戦略を強化した成果が 表れ、日本の技術の国際競争力が高まっていることを示している。

・主な企業の特許戦略強化への取り組み
 NEC 200以上の部門にビジネスモデル特許の取得推進担当者設置
 日 立 国内だけで26,000件の特許保有。特許収支は85年度から黒字
 ソニー 社内カンパニー毎に法務・知的財産部門を設置
     ビジネスモデル特許室も開設
 味の素 特許発明者に売上に応じた上限なし報奨金贈呈

・2000年の米国特許取得数ランキング
 1.IBM
 2.NEC
 3.キャノン
 4.サムスン電子
 5.ルーセントテクノロジーズ
 6.ソニー
 7.マイクロンテクノロジー
 8.東芝
 9.モトローラー
 10.富士通

ビジネスモデル範囲
「ビジネスモデル特許」から引用、若干加筆。
■コメント

 ビジネスモデルが話題なる事が多い。この言葉は不思議な魅力と魔力を持 っている。「これがわれわれのビジネスモデルだ」なんて云われると、 「なるほど」と納得してしまう。

 今回はビジネスモデルと特許の周辺について、次回はビジネスモデル特許 戦略について概観する予定です。詳細は、この機会に気に入った本などから 情報収集してください。末尾に主なURL列挙しておきます。

◆ビジネスモデルとビジネスモデル特許紛争

 ビジネスモデルは、ビジネスの方法であり、事業を成立させる仕事の仕組 みややり方・方法のこととも翻訳できる。

 ビジネスモデル特許は、コンピュータ・システムとネットワーク技術と組 み合わせることで特許となるからそのインパクトはすごい。 ちなみにe−ビジネスとは、この組み合わせでビジネスを展開することと定 義できる。

 特許は、排他的独占的実施権(20年間の保護期間)と差止請求権がある から、該当するビジネスを唯一独占できることになる。

 ビジネスモデル特許が注目されることになったのは19998年7月の 「ステート・ストリート事件」。これはシグネチャ社の 「ハブ・アンド・スポーク」と呼ばれる投資管理方法に関する特許の実施権 についての提訴事件だ。

 その後、アマゾン・ドット・コム社は「ワンクリック特許」に関し、 競合企業バーンズ・アンド・ノーブル社を提訴、プライスライン社は 「逆オークション特許」を根拠にマイクロソフト社を提訴、と続いている。

 非技術的なビジネス手法を特許対象とするビジネスモデル特許は、 米国のプロ・パテント戦略とも云われ、この潮流がいつまで続くかわからな いが、突然の提訴に対する対応を怠るわけにないかない。

多額の訴訟費用はもとより、 ライセンス費用など高額な要求に対する交渉は困難を伴う。

ビジネスモデル特許の是非ついて議論も行われており、見守りたい。

◆ビジネスモデル特許の定義などを手元の本から引用してみよう

●『ビジネスモデル特許』日本感性工学会 通商産業調査会 4,300円

「新規なビジネスの手法をコンピュータ等の技術的手段を使用して具現 した発明(ビジネスモデル発明)を特許の対象とするもの」

・内容は、
電子商取引、金融ビジネス、電子マネー・電子決済、広告、財務、在庫管理 などの範囲

・発明の表現方法は、
(ビジネスの)方法
(ビジネスを実施するための)システムまたは方式
(ビジネスを実施する)装置
(ビジネスを実施するためのプログラムを記録した)記憶媒体

・ビジネスモデル特許の特徴
発明の本質部分:非技術的な要素
 (ビジネスモデル、ビジネスアイデア)によって占められている
選択の余地はないためビジネスの方法自体が特許になってしまう:
 技術的な要素 (コンピュータ、ソフトウェア、データベース、ネットワークなどの使用)

●『ビジネスモデル特許』ヘンリー・幸田著 日刊工業新聞社

「主としてコンピュータを活用してビジネスを行う方法、あるいはその方法 を実施するためのシステムを発明の対象として保護する特許」
「電子商取引に関する新しい方法、あるいはシステムに関する特許」

・商取引の範囲は広く、
ネット販売、金融、会計、投資、入札、人材紹介、代理業務、 諸サービス業務等、現代社会における経済活動のあらゆる分野が含まれる。

■情報収集URL

知的財産用語辞典 弁理士 古谷栄男・松下正・眞島宏明
特許、著作権、商標などに関する法律用語の意味を解説しています。
http://www.furutani.co.jp/

世界最大の特許情報オンラインシステム
http://www.patolis.co.jp/

特許・商標などの知的財産(特にソフトウエア分野の情報)、 インターネットの法律問題などを私の簡単なコメントとともに 提供するために開設
http://www.asahi-net.or.jp/~gv8h-mtkr/index.htm

「ビジネスモデル特許」のポータルサイトです。これを見れば ビジネスモデル特許の全貌がわかります。
http://findx.nikkeibp.co.jp/ws/sp00bm1.html

特許庁ホームページ:テクノトレンドに詳しい解説あり
http://www.jpo.go.jp/indexj.htm

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